N.I. -Neo Individual-

ニー(ネオ・インディビジュアル)

 

<乳児から老衰までのヒトの発達は9段階>

ヒトは誕生した時、人間の知性を習得する素質を具えて生まれるが、知性そのものは段階を踏まえ学習していくことでしか修得できない。知覚に関しても、知性を習得することによってヒトらしい知覚に発達する。
ヒトの知性を与えられずに育った場合、社会との意識の共有が困難になり、人間を同属として知覚する神経が阻害される。
以下は、人間を育成する中で、いずれも欠くことのできない発達段階である。いずれかの段階を欠いた場合、遺伝子継承された試練が次世代に解消されず、克服されるまで世代をまたいで引き継がれる。場合によっては、問題点は、快方に向かう途上段階として、または、深刻化する途上段階として遺伝する。個人の発達段階は、社会の現状における発達段階に連鎖して引き下げられる。
社会が長期にわたり著しく人間育成環境から逸脱し続けると、住まう人間は種を維持することが困難となり、種は変異する。


<ヒトの発達-9段階>

 

①狩猟者
食餌欲求(愉悦)

 

②被食者
守護から外れ、捕食対象とされる(恐怖・怒り・喪失感)

 

③傍観者
狩猟の傍観者、逸脱回避、主体性なし(静観)

 

④批判者
狩猟の批判者、逸脱需要、優位(保護欲求)

 

⑤知覚者
自己の喜怒哀楽、善悪への客観性、五感知覚が安定し、人倫と整合した判断力が付く、人倫に共感する良心の芽生え

 

⑥監督者
狩猟の監督者、主体性をもって人情味を保ちながら、狩猟を監督し、人間らしい道へ①~⑤を引率する

 

⑦成熟者
生存における狩猟の正当性/愉悦における狩猟の不当性 の分別

視野拡大

より深い愛情を供与できる大人に成熟


⑧観察者
老化し、社会的強者から保護される側へ(違う視点から見た社会の大筋を倫理的に評価)


⑨継承者
・不備:評価した不備を指摘
・許容:評価結果は許容範囲と判断
・継承:不備に対処する代役がみつかる

 

このような段階を身をもって体感して、成熟するにしたがい人間社会の知性を修得していく。そして一定の段階に成熟すると社会に参加していく必要がある。人間社会には「自由」という概念が認められているが、これは上記の段階を順当に成熟まで達した者に認められる概念である。様々なオートメーション化が進むこれからの社会における、人間の社会参加の概念を以下にまとめてみた。

 

<不動要素>
・人の認知力
表面的な情報・数字等つかみどころがある部分で判断しがち
内面的な抽象的なものが肉体を動かす(行動・具象化の原動力は抽象)が、外界から知覚できるのは具象のみ

・地球の活動
地球の活動を任意に操作することは技術的に可能となってきた(クラウドシーディング・灌漑施設など)が、操作が地球に及ぼす影響は未知の領域であるため、人類の生命活動に必要な範囲での操作に控えるのが賢明

・人類の自己保存欲求
種を保存する本能的欲求から、人類は様々な防衛行動・合理化を推進する性質がある
防衛行動:武装・貯蓄・社会通念の統一・排他・情報秘匿・違反処罰 等
合理化:産業技術・経済活動・競争による活動の活性化・集団形成

・生態系の生命力
各生態圏に気候・濃度・成分の違いがあり、その条件を生存のために必要とする生物が生息している。変化は種の増減を大きく左右する。生態系の各層が、種の増減によりバランスを崩したり回復したりし、人類由来以外にも地球の活動・宇宙の影響を受け、常に変化しているが、種が減少すると食物連鎖の緩衝が生まれ、人類の生存環境にも不利が生じやすい。

 

<可動要素>
人類は種の保存に有効な条件を活発にするために、歴史上で多くの方針転換を受け入れてきた。科学が未発達な時代に未知の分野において誤って広まった悪習等もあり、その結果現代に環境破壊や人権蹂躙を招いている潜在的問題が依然拡大、深刻化している場合もある。
したがって、人類は種の保存に有効で、不動のものに属さない部分においては、方針を現状から転換していく可能性を秘めている。
ただし、誤認や未知の領域があることを前提とし、方針転換の際は慎重を期さねばならない。

 

<課題>社会の不完全さを社会参加意欲につなげる教育を

 

成年に達するまでに基本的な人類と地球・宇宙の活動のあゆみを学習し、成年してからは、各々の得意分野を活かし、

・生存を補助する役割
・不足・問題点を見出す役割、解決策を実施

等のような形で社会活動に参加し、人類の生命・精神活動の成熟に貢献していくことが求められる。
また、単独でできる活動は僅かとなりがちであり、より大きな協力体制を築けることが望ましいが、社会集団は成熟者に対し、個々の特性によってできる形を選択できるよう自由性を尊重する。